ルームアコースティック 検討その1 SylvanとANKH? メカニズムから。
ルームチューニングで真っ先に思いつくのは以前ならQRDでしたが、今は日本音響エンジニアリング(旧 日東紡)のシルヴァンとアンクですね。ただ、QRDと同じく(もっと?)高くて重い。シルバァンは出物があって導入済みなのですが、コーナーアンクetcと考えると。。。しかも、やっぱり自作したくなりますよね(^^;) 実際に自作されている方もいて、Twitterで知り合った方にも色々教えて頂きました。ネットでも先達の実験例もありましたが、自分なりに自作?導入!?に先立って、技術的な側面を検討してみることに。
写真は我が家のシルヴァンです。ネットで見かけない背面の写真も載せておきました。SylvanやANKHのメカニズムは、円柱が波を拡散させることを利用していて、基本的にテトラポットが波を打ち消す原理と一緒ですね。具体的には「反射体構造物、音場調整方法、柱状反射体構造物、部屋、プログラム、音響諸室設計システム WO 2009142267 A1」という特許になっています。繰り返し読みましたが、構造の肝要な部分は特許とPhile-webの広告?記事(その①、その②など)に記載されている感じです。特許を読む限りオーディオにありがちな、なんじゃこれ?的な感じはありませんでした。ちなみに、特許は個人的または家庭内での利用を制限するものではないので、自作(販売はダメですけど)は問題なし。
さて、特許とPhile-webの記事からは
- 直径の違う柱状反射体を組み合わせる
(シルヴァンは、32、45、60mmの組み合わせ) - 直径が細い柱を手前に配置する
- 各列についてランダムに配置する
- 断面積を直径の違う柱状反射体の列毎にほぼ一定にする
が、ポイントのようです。他にもSylvanとANKHを眺めていると、後ろが丸棒でうまく隠れる感じになっている事にも気付くと思います。次いで、円柱と対応する周波数(この周波数以上は100%散乱できる)をみてみます。特許の数式は難しく見えますが、変形すると三乗根(計算サイト)すれば良い感じに。気になる円柱の直径で計算してみましたが、しっかり低域まで効果を狙うと丸棒の太さが半端ないところでしょうか。
直径(mm) | 周波数(f) |
---|---|
400 | 175 |
140 | 500 |
120 | 583 |
90 | 778 |
60 | 1165 |
45 | 1553 |
38 | 1842 |
32 | 2183 |
表をみると、部屋で問題になりそうな定在波(50-200Hz)をきちんと対策するためには、直径は40cm!?の円柱が必要に(^^;) 実際に日本音響エンジニアリングの試聴室は前後2段で、奥に太いものが設置されているようです。理論的には、天井を高くして試聴室のようにアンクを前後2段で配置出来れば定在波をコントロール出来そうですが、現実的なハードルは高いですね(^^;)
もちろん、100%散乱出来なくても一定の効果は期待出来るので、表の周波数より下の帯域まで効果は出ると思いますが、普通のアンクやシルヴァンでは(直接的な効果としては)中高域のみということに。コーナーアンクだけは、奥の角に太い円柱(120-140mm? の1/4かな?)が入っているため下の帯域まで効果が見込めることになります。
そうなると、コーナーアンク以外だと(理論的には)効果が限定的?だと思われますが、体感的にはそうでも無さそうです。そこで、次回は効果について検討してみます。
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コメント
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実は拙宅の壁面は自作アンクです。あまり大きな声では言えませんが、当時日東紡の試聴室に行って情報を入手してから、アンクを1台買って分解して円柱の配列を調べました。
材質はタモ材で32、45、60mmの円柱は建築や家具業界に流通している既製品です。奥に並べる太い円柱は、日東紡の試聴室ではボイド管に砂を入れて鳴きを抑えていたようですが、拙宅では約150mm径の乾燥製材する前の丸太を使いました。
ご参考になればよろしいですが。
投稿: 北の信者 | 2017年9月11日 (月) 22時37分
北の信者さま
コメントありがとうございます。お部屋のほぼ全面に自作アンクを設置されている記事は拝見しておりました。大変な状況からフェニックスのように復活された経過を拝読し、いつか家も対策せねば…と、決意したきっかけでもあります。
タモ材は、32、45、60mmは既製品で流通しているのですね。私もいくつか見積りを取ったのですが、木工所にお願いしたので既製品じゃないのかも。結構な値段でした。その代わり90mmとかも可能だったのですが。。。
しかし、まさか本物アンクを分解されていたとは。。さすがです!情報ありがとうございますm(_ _)m
投稿: オーディオ目玉親父(messa) | 2017年9月12日 (火) 01時20分